薬丸裕英さんを
イメージキャラクターに迎え
地上波にテレビCMを放送中
関節(膝、股関節、肩)編
脳卒中・ヘルニア編
インフォメーション
LICENSE厚生労働大臣届出済医療機関
第二種・第三種再生医療等提供計画 届出済
リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に届出し、受理されました。
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自己脂肪由来幹細胞を用いた脳血管障害の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた糖尿病の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた肝障害の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた変形性関節症治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた顔面萎縮症、皮膚再生治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた脊髄損傷の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた慢性疼痛の治療
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多血小板血漿(PRP)を用いた変形性関節症の治療
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多血小板血漿(PRP)を用いた筋腱炎、靭帯炎の治療
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多血小板血漿(PRP)を用いた皮膚再生療法
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悪性腫瘍の予防に対する活性化NK細胞を用いた細胞治療
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多自己脂肪由来幹細胞と自己前骨芽細胞分化誘導上清液を用いた変形性関節症の治療
当クリニックでは、国内では数少ない自己の幹細胞を用いた「変形性関節症」「脳卒中」「糖尿病」「肝障害」「肌の再生」などの最先端の再生医療および、PRP(多血小板血漿)の関節内投与を再生医療安全確保法のもと、自由診療にて提供しています。再生医療とは、厚生労働省が認めた特定認定再生医療等委員会において、厳しく審査が行われ、治療の妥当性・安全性・医師体制などが適切と認められる事ではじめて厚生労働省に治療計画を提出することができます。
自分の細胞を活用し、
蘇らせる「再生医療」とは?
薬での治療は限界ではないだろうか。本当に手術は必要だろうか。
そんな思いで悩んだり、あきらめたりしていませんか?
ケガをしても傷跡が少しずつ薄くなる・・
当たり前のようですが、あなた自身の細胞には、弱ったところ、傷ついたところを修復するチカラがあります。
その細胞のチカラを最大限に引き出して治療を行うことを「再生医療」と呼び、おすすめしています。
リペアセルクリニックの特長
当クリニックは、疾患・免疫・美容という分野すべてを、自己細胞を用いた最先端の医療で行うことができる国内でも珍しい部類の医療機関です。
CPC(細胞加工施設)の高い技術により、冷凍しない方法で幹細胞を投与できるので高い生存率を実現。
ご自身の細胞や血液を利用するため、アレルギーや拒絶反応といった副作用の心配が少ないおすすめの治療方法です。
- 1億の細胞を
投与可能※但し適応による - 高い
安全性 - 入院不要
日帰り - 身体への
負担が少ない - 高い技術力を
もったCPC
できなくなったことを、再びできるように
わたしは医学部卒業後、大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院で関節や脊椎の疾患、脊髄損傷などの外来や手術に従事しました。また、救命救急センターで脳卒中や心疾患などの内科疾患を幅広く経験しました。
膝や股関節の人工関節については専門病院で約1000例以上の手術とリハビリを手掛け、その後生まれ育った地元でクリニックを開業いたしました。開業してからも患者さまの痛みや苦痛を少しでも和らげ、人生をより楽しく、明るい気持ちで過ごしてもらいたいという思いを持ち続けて診療を行い、地域の皆さまに愛される医療を目指し在宅医療や訪問看護にも力を注いで参りました。
そんな道を進みながらも、わたしは常に患者さまにどうやったらより質の良い医療を提供できるだろう、という思いを抱き続けて模索を繰り返していました。やはり保険診療の範囲では限界があり、患者さまの生活の質を一定以上回復させることは叶わないからです。
そんな時に再生医療と出会い、新たな可能性を見出すことができました。
再生医療の凄いところは、安全性を担保しながら治療を行う事が出来、しかも一般的には治療が難しいと言われる症状に対しても劇的な回復を見込めるという事です。脳血管疾患や脊髄損傷などで深刻な後遺症を持つ方がみるみる回復していく様に、わたし自身も驚きの連続でした。
また、膝、股関節、肩など関節疾患により大好きなスポーツが出来なくなった方が復帰されたり、手術をするしか選択肢がなかった方に、手術に代わる新たな選択肢をご提供する事が出来るようになった事で、多くの患者さまから「この治療を受けて本当によかった」と大変喜ばれております。
「これ以上回復させることはできないのが常識」という概念を覆したのですから、本当に凄いことです。もちろん再生医療は不治の病を全て治すことのできる万全な治療ではありません。しかし、一般的な医療の効果をはるかに超えて結果を出せる可能性がある事を、わたしはたくさんの実績を通して確信に変えています。
そしてもちろん、脳血管疾患や脊髄損傷、整形外科分野の疾患においてリハビリも欠かせない大事な要素の一つです。再生医療×リハビリの相乗効果で回復の幅がかなり広がることでしょう。
再生医療は、わたしが求め続けていた「人生をより楽しく、明るく過ごしてもらいたい」という医療に対する思いそのものだと感じました。現在も日々たくさんの方々にご来院いただき、たくさんの笑顔を見ることが叶っています。患者ご本人さまやご家族が泣いて喜ぶ瞬間は、何度立ち会っても感慨深く、私の原動力になっております。
再生医療における無限の可能性
再生医療の治療は、幹細胞という細胞を用いて行う治療です。幹細胞はとても小さく、身体の中をすみずみまで巡り、人の手の及ばない細かな箇所にもアプローチしてくれるものですので、この治療はまだまだ無限の可能性を秘めており、今後も様々な症例が報告されることでしょう。様々な疾患で苦しむ方の希望になるだろうと、わたしは思っています。
また、当院では患者さまご自身の細胞を使いますので安全に治療をお受けいただけます。どうか安心してご来院ください。
「できなくなったことを再びできるように」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることのお手伝いができれば幸甚の至りでございます。
医療法人美喜有会理事長 坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
略歴
- 1997年3月
- 関西医科大学 医学部卒
- 1997年4月
- 医師免許取得
- 1997年4月
- 大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
- 1998年5月
- 大阪社会医療センター附属病院 勤務
- 1998年9月
- 大阪府立中河内救命救急センター 勤務
- 1999年2月
- 国立大阪南病院 勤務
- 2000年3月
- 野上病院 勤務
- 2003年3月
- 大野記念病院 勤務
- 2005年5月
- さかもとクリニック 開設(2023年3月譲渡)
- 2006年12月
- 医療法人美喜有会設立 理事長就任
- 2019年6月
- リペアセルクリニック大阪院 開設
- 2021年5月
- リペアセルクリニック東京院 開設
- 2023年12月
- リペアセルクリニック札幌院 開設
主な医学論文•学会発表
- 論文名:透析患者に対する鏡視下手根管開放術の費用と手術手技
論文掲載:日本透析医学会雑誌(1340-3451)37巻Suppl.1 Page770(2004.05) - 論文名:IBBC手技を使用したTKAの中期成績
論文掲載:日本人工関節学会誌(1345-7608)30巻 Page35-36(2000.12) - 論文名:寛骨臼巨大骨欠損の再置換法とその成績 同種骨による欠損壁の修復と水酸アパタイト顆粒による空洞の修復
論文掲載:日本整形外科学会雑誌(0021-5325)74巻2号 Page S319(2000.02) - 論文名:骨セメントと骨界面に水酸アパタイト顆粒を介在させる界面バイオアクティブ骨セメント手技(IBBC)
論文掲載:日本整形外科学会雑誌(0021-5325)74巻3号 Page S666(2000.03) - 論文名:外反母趾手術chevron法に対するPLAの使用経験
論文掲載:中部日本整形外科災害外科学会雑誌(0008-9443)42巻1号 Page241-242(1999.01) - 論文名:亜急性に経過した膝蓋骨骨髄炎の1例
論文掲載:中部日本整形外科災害外科学会雑誌(0008-9443)41巻4号 Page1107(1998.07)
当院で再生医療を
サポートする専門医
藤間 保晶 院長
Yasuaki Toma
略歴
- 1995年3月
- 三重大学医学部学科卒業
- 1995年4月
- 奈良県立医科大学 整形外科入局
- 1996年1月
- 奈良県立奈良病院 救命救急センターおよび麻酔科(救急医療、麻酔)
- 1997年1月
- 三重県大台厚生病院 整形外科(へき地医療)
- 1998年1月
- 大阪松原市立病院 整形外科
- 2000年1月
- 済生会富田林病院 整形外科
- 2002年1月
- 奈良県立三室病院 整形外科
- 2004年7月
- 済生会奈良病院 整形外科
- 2006年7月
- 市立奈良病院 整形外科
- 2008年7月
- 国立病院機構奈良医療センター 整形外科・リハビリテーション科
- 2017年1月
- 市立奈良病院 整形外科・リハビリテーション科
- 2019年4月
- 石心会(新東京石心会)グループ さいわい鶴見病院 関節外科
主な医学論文•学会発表
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論文名:Early bone in-growth ability of alumina ceramic implants loaded with tissue-engineered bone再生培養骨を導入したアルミナセラミックス製インプラントの早期骨形成能について
著者:Tohma Y, Tanaka Y, Ohgushi H, et al.
論文掲載:Journal of Orthopaedic Research 24(4): 595-603, 2006. -
論文名:Bone marrow-derived mesenchymal cells can rescue osteogenic capacity of devitalized autologous bone自家培養骨髄由来間葉系細胞による壊死骨の骨形成能救済技術の開発
著者:Tohma Y, Ohgushi H, Morishita T, et al.
論文掲載:Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medicine 2(1): 61-68, 2008. -
論文名:Basic and Clinical Research into Alumina Ceramic Artificial Joint Prosthesis loaded with Tissue-engineered Bone再生培養骨を導入したアルミナセラミックス製インプラントを用いた基礎研究および実際の人工足関節手術での治療成績
著者:Tohma Y, Tanaka Y, Ohgushi H, et al.
論文掲載:Tissue Engineering Research Trends, Nova Science Publishers, Inc.: 183-197, 2008.
-
4. 論文名:骨への幹細胞移植
著者:藤間保晶, 大串始, 田中康仁, 他.
論文掲載:病理と臨床27(4): 367-371, 2009. -
5. 論文名:Osteogenic activity of bone marrow-derived mesenchymal stem cells (BMSCs) seeded on irradiated allogenic bone培養骨髄由来間葉系細胞による同種壊死骨の骨形成能救済技術の開発
著者:Tohma Y, Dohi Y, Ohgushi H, et al.
論文掲載:Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medicine 6(2): 96-102, 2012. -
6. 論文名:再生医療におけるアログラフト
著者:藤間保晶, 大串始, 田中康仁
論文掲載:再生医療における臨床研究と製品開発. 技術情報協会:109-115, 2013. -
7. 論文名:Reg Gene Expression in Periosteum after Fracture and its In Vitro Induction Triggered by IL-6. 骨折後の骨膜に再生遺伝子(Reg遺伝子)が出現することを発見し、インターロイキン6により誘導されることを見出した研究
著者:Tohma Y, Dohi Y, Shobatake R, et al.
論文掲載:Int. J. Mol. Sci. 18(11): 2257, 2017. - ほか多数
渡久地 政尚
Masanao Toguchi
略歴
- 1991年3月
- 琉球大学 医学部 卒業
- 1991年4月
- 医師免許取得
- 1992年
- 沖縄協同病院 研修医
- 1994年
- 沖縄協同病院 外科 勤務
- 2000年
- 癌研究会附属病院 消化器外科 勤務
- 2008年
- 沖縄協同病院 内科 勤務
- 2012年
- 老健施設 かりゆしの里 勤務
- 2013年6月
- 医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長
- 2014年9月
- 医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長
- 2017年8月
- 医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長
所属学会
圓尾 知之
Tomoyuki Maruo
略歴
- 2002年3月
- 京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業
- 2002年4月
- 医師免許取得
- 2002年4月
- 大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
- 2002年6月
- 関西労災病院 脳神経外科 勤務
- 2003年6月
- 大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
- 2003年12月
- 大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務
- 2004年6月
- 大阪労災病院 脳神経外科 勤務
- 2005年11月
- 大手前病院 脳神経外科 勤務
- 2007年12月
- 大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
- 2012年3月
- 大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)
- 2012年4月
- 大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教
- 2014年4月
- 大手前病院 脳神経外科 部長
加藤 秀一
Hidekazu Kato
略歴
- 1997年3月
- 埼玉医科大学 医学部 卒業
- 1997年4月
- 医師免許取得
- 1997年4月
- 三重大学附属病院 整形外科 研修医
- 1998年4月
- 伊賀市立上野総合病院 整形外科 勤務
- 2000年6月
- 鈴鹿中央病院 整形外科 勤務
- 2001年6月
- 三重大学医学部大学院 整形外科学 勤務
- 2003年4月
- 医療法人山本総合病院 整形外科 勤務
- 2004年4月
- 三重県立総合医療センター 整形外科 勤務
- 2006年4月
- 四日市社会保険病院 整形外科 勤務
- 2008年4月
- 医療法人博仁会 村瀬病院 整形外科 勤務
- 2009年4月
- 医療法人美喜有会 整形外科みきゆうクリニック 管理者
症例紹介
-
- 脳卒中の症例
- 幹細胞治療の症例
半身麻痺が改善!こぼさないで食事ができた こちらの患者様は3年前に脳出血を発症され、その後遺症の治療のため当院を受診していただきました。 後遺症は左半身麻痺です。上肢に関しては完全麻痺で指も動かすことができません。左下肢は不全麻痺で装具をすれば、なんとか歩行できる状態です。幸い手足のしびれは残っていませんでした。 声がかすれる、食べ物を口からこぼすなどの口周りの麻痺も残っています。脳出血発症後の半年間は麻痺の改善がみられていたそうですが、今はすっかり止まってしまったそうです。これ以上の改善はないだろうと不安な毎日を過ごしていた時、再生医療の話を耳にし、失いかけていた希望が再度湧いてきたそうです。 近年、研究が進み幹細胞を使った再生医療により脳卒中の後遺症が改善した症例の報告が増えてきています。脳の血管の破綻により壊死した脳神経細胞を幹細胞の力でよみがえらせると同時に、幹細胞治療の2つ目の効果として、脳の脆弱して再出血を起こす危険のある血管を修復し、脳出血の再発を予防する効果も期待されています。脳出血の再発率は1年以内に25%、5年以内に50%、10年以内に55%と言われておりかなりの高確率となっています。この再発の可能性を低くすることは、患者様の精神的負担をかなり軽減できると考えています。 具体的には下腹部から採取した脂肪細胞から幹細胞を分離・培養し、幹細胞のホーミング効果を期待して静脈から点滴します。ホーミング効果とは体内に入った幹細胞が再生を必要としている部位・組織から放出されるシグナルを見つけ出し、その部位・組織に自動的に集まり目的の細胞に分化したり傷んだ部位・組織を修復することです。よって点滴する幹細胞は生きていないとホーミング効果が期待できません。 当院で使用する細胞は冷凍保存せず投与するたびに培養しているため2回目、3回目に投与する細胞も生存率95%以上の生き生きとしたフレッシュな細胞です。一般的には3回投与するのであれば、1度に3回分の細胞を培養して、まとめて3回分の幹細胞を冷凍保存する作り置きパターンとなります。1回目、2回目、3回目の投与のタイミングで解凍して投与します。このように投与前に細胞を解凍するとどうしても幹細胞が死滅してしまい生存率は50-60%またはそれ以下になってしまうこともあります。また神経細胞を修復、再生するには点滴する幹細胞の数も重要と考えています。当院の細胞培養は細胞培養技術がトップクラスの施設と提携して行うため米粒2~3粒程度の脂肪細胞を採取するだけで、生存率が95%以上の幹細胞培養が可能です。 2024年からは厚生労働省への届出が受理されたことにより、2億個の幹細胞を投与することが可能になりました。これにより従来の1億個の幹細胞より高い効果が期待できます。 MRI初見 投与後の変化 この患者様は幹細胞を3回点滴投与しました。 初回点滴後半年で、左側の太ももを上げる筋肉の筋力が投与前MMTが3であったのが投与後は4まで改善しました。つまりほとんど動かなかった太ももが、正常の8割まで筋力がついたということです。 歩行時に太ももがしっかり上がるようになったことでつまづきにくくなり転倒の心配が減った、会話のとき声がはっきりして聞き取りやすくなったとご家族にも喜んでいただけました。また食べ物もこぼすことがなくなったそうです。 独自の技術で冷凍せず培養した生存率の高い幹細胞を、一度に2億個投与できる施設は国内には無く、これが症状の改善にとても反映されています。 患者様、ご家族に「症状も改善しているし再発の可能性も低くなったのでうれしいです。」と言っていただけました。この言葉を励みにして、脳卒中の後遺症に苦しむ患者様の希望になれるように真摯に治療に取り組んでいきたいと思っています。 厚生労働省届出済【2億個の幹細胞】投与を実現 2024年1月より、当院では厚生労働省への届出が受理されたことにより脳卒中に対する点滴において幹細胞数2億個の投与が可能となりました。これにより、従来の幹細胞1億個の投与よりも高い治療効果が期待できるようになりました。 <治療費> 幹細胞点滴 投与回数(1回~) 242万円(税込)~ <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。 ID T000676 再生医療医師監修:坂本貞範
-
- 脊髄損傷の症例
- 幹細胞治療の症例
体幹に筋力がつきコントロールが可能に! こちらの患者様は2か月前からの歩行障害と膀胱直腸障害のため、当院を受診されました。 症状は2か月前のある日突然出現しました。朝、突然両脚に力が入らなくなり歩行が困難になりました。いろいろな病院を受診しましたが、診断がついたのは症状が発症して4日目のことでした。診断名は「脊髄梗塞」です。 脊髄梗塞とは、脊髄の血管が詰まってしまい神経が機能しなくなることで、脳梗塞と比べるとはるかに希な疾患です。診断がつき次第、緊急入院となり血栓を溶解する点滴などでの治療、その後はリハビリ病院へ転院しリハビリを続けておられますが、神経の回復が思わしくなく発症後2か月の早い時期に再生医療を頼って受診していただきました。 近年、研究が進み幹細胞を使った再生医療により脊髄麻痺の後遺症が回復した例が数多く報告され、後遺症で苦しむ患者様の希望の光となっております。 私達は国内でいち早く脊髄麻痺の後遺症への幹細胞治療に取り組みはじめ、現在では治療を受けていただいた患者様は数百人にものぼっています。患者様に選ばれる理由は、冷凍保存しない生き生きとした強い細胞を使用していることと、国内ではほとんど行われていない幹細胞の脊髄内への直接投与(脊髄腔内ダイレクト注射療法)を行っていることであると考えています。 当院の幹細胞は脂肪由来の幹細胞を用いています。脊髄や脳神経の再生医療では骨髄由来の幹細胞を用いる施設もありますが、今後は脂肪由来の幹細胞治療が主流となっていきます。その理由は骨髄由来の幹細胞は技術的に生き生きした強い大量の幹細胞を培養することは難しいことと、幹細胞を採取する際、脂肪由来の幹細胞と比べて患者様の身体への負担が大きいからです。 当院では独自の技術による大量の生き生きした強い幹細胞を直接脊髄内へ投与することで、その効果は骨髄由来幹細胞を凌駕すると考えています。また幹細胞投与はリハビリと並行して行うことで幹細胞が損傷した脊髄神経を再生・修復し、より身体機能の回復の効果を高めることができます。さらに嬉しいことに幹細胞の血管内投与では傷ついた脊髄神経を再生させるだけでなく、今後脊髄梗塞になるかもしれない血管を予防的に修復させ、再発も抑えてくれます。 MRI初見 MRIでは胸腰椎以降部の脊髄内に高輝度変化があり、脊髄梗塞と診断がつきます。 脊髄内に直接幹細胞を3回投与 脊髄内に2500万個細胞ずつ計3回の投与を計画しました。 1回目の投与後1か月には、「体幹に力が入るようになって歩行時のバランスがよくなった。右足の指が固まっていたのが動くようになった。両足のしびれが半減した。」など患者様から喜びの声を聞くことができました。 さらに投与回数を重ねるに従って体幹の筋力は安定してきて、今まで便のコントロールが困難でしたが、肛門括約筋の機能が回復することで便のコントロールも可能となりました。 発症してから間もない時期でリハビリも継続中でありますし、更なる神経の回復もかなり期待できると思われます。 <治療費> 198万円〜(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。 ID T000902 再生医療医師監修:坂本貞範
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- ひざ関節の症例
- 半月板の症例
- 手関節の症例
- 幹細胞治療の症例
- PRP治療の症例
今回の治療もよく効いてうれしい!幹細胞治療の効果 こちらの患者様は、数か月前からの両膝関節痛と左手関節痛のため受診していただきました。 患者様は以前、両変形性股関節症のため人工関節置換術を勧められていましたが、当院での幹細胞治療により人工関節を回避でき現在も痛みなく日常生活を送られています。趣味のヨガ、水泳、旅行を楽しまれているとのことでした。今回は、両膝と左手関節の治療に来ていただきました。 診察の結果、両膝の初期の変形性関節症と半月板損傷、左手関節はTFCC損傷と診断しました。TFCCとは手関節の小指側にある靭帯と線維軟骨の複合体のことで、手をついて転倒し強い捻りと背屈が強制されると損傷します。 こちらの患者様は以前に手関節の骨折を受傷した既往があり、その時に同時にTFCCを損傷した可能があります。変形性膝関節症の軟骨破壊は炎症と半月板・ 軟骨などの組織変性によって進行すると言われています。炎症を抑えると共に損傷した組織を再生することができれば、関節鏡や人工関節などの手術までの時間を延長できたり回避できると言われています。一旦人工関節になると、耐用性の問題などからアクティブな活動がかなり制限されてしまうため、高い生活の質を確保すると言う意味では人工関節までの時間を延長することはかなり意義のあることです。 唯一、関節内の抗炎症作用と組織修復・ 再生作用を持ち合わせるのが細胞を用いた再生医療です。当院では再生医療の黎明期から肩関節、肘関節、手関節、股関節、膝関節、足関節とすべての関節に対して積極的に幹細胞治療を行い、患者様に満足のいく除痛効果をもたらすと同時に手術を回避することを可能としてきました。 こちらの患者様にも幹細胞治療を行うと除痛効果はもちろんのこと、損傷した半月板、軟骨、TFCCを再生・ 修復し変形性関節症の進行を予防し、手術を回避できると考え、股関節同様に幹細胞治療をお勧めしました。 レントゲン所見 レントゲンでは両膝にはごく軽度の関節裂隙の狭小化を認めました。左手関節は尺骨がごくわずかに橈骨に比べて長いことがわかります。 <治療効果>両膝と手関節に計1億個の幹細胞を投与+PRP 右膝に6000万個細胞、左膝に3000万個細胞、左手関節に1000万個細胞を1回投与しました。 その結果、3か月後には右膝は投与前10段階中2であった痛みが0に、左膝は投与前1であった痛みが0に、左手関節は投与前6であったのが1まで軽減しました。 手関節の治療は、本来は難しいのですが、当院の冷凍せず特殊なシートで培養された生存率の高い幹細胞であるからここまで痛みが軽減したものと自負しております。 患者様には「前回の股関節の治療と同様に、今回の治療もよく効いてとてもうれしいです。」と喜んでいただけました。 <治療費> ・関節1部位 幹細胞数( 2500万個~1億個 ) 投与回数( 1回~)132万円( 税込 )~ ・PRP治療 16.5万円( 税込 ) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。 ID T00028 再生医療医師監修:坂本貞範
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- がん後遺症の症例
- 幹細胞治療の症例
乳がん術後後遺症のしびれや胃腸障害、倦怠感が改善! こちらの患者様は10年前以上前からの食欲不振、下痢、足のしびれ、肩こり、頭痛、疲れやすさを主訴に受診されました。 症状が出現したきっかけは、乳がんの手術と抗がん剤治療を受けたためだと話していただけました。治療のおかげで命は取り留めたものの、その後は食欲不振、下痢などの胃腸障害、倦怠感などに苦しめられてきたそうです。もともとやせ型であったにもかかわらず体重は10kgも落ち、体力や気力がなくなったそうです。根本的な治療法はなく苦しみに耐えてこられましたが、幹細胞治療に希望を見い出し受診されました。 足のしびれの原因は抗がん剤の副作用の末梢神経障害と診断されましたが、その他の食欲不振、下痢、倦怠感の原因は乳がんの主治医からは、はっきりとはわからないと言われたそうです。末梢神経障害による足のしびれや肩こりが少しでも楽になるように、幹細胞の点滴予定させていただきました。 具体的には下腹部から採取した脂肪細胞から幹細胞を分離・培養し、幹細胞のホーミング効果を期待して静脈から点滴します。ホーミング効果とは、体内に入った幹細胞が再生を必要としている部位・組織から放出されるシグナルを見つけ出し、その部位・組織に集まり目的の細胞に分化したり傷んだ部位・組織を修復することです。今回は、幹細胞が傷んだ末梢神経の神経線維や細胞を修復してくれることを期待して投与します。また副次的な効果で食欲不振、下痢や倦怠感が少しでも改善されたらという思いもありました。 当然ながら、点滴する幹細胞は生きていないと思うようなホーミング効果は期待できません。当院で使用する細胞は冷凍保存せず投与するたびに培養しているため、2回目、3回目に投与する細胞も生存率95%以上の生き生きとした強い細胞です。さらに幹細胞に十分なホーミング効果を発揮してもらうには、点滴する幹細胞の数も重要と考えています。当院の細胞培養は、細胞培養技術がトップクラスの施設と提携して行うため米粒2~3粒程度の脂肪細胞を採取するだけで2億個以上の数まで細胞培養が可能です。一般的な医療機関での幹細胞点滴は一度に1億個投与ですが、当院では厚生労働省への届出が受理されたことにより、2億個の幹細胞を投与することが可能になりました。これによって、1億個投与では現れない高い治療効果が期待できるようになりました。 投与後の変化 こちらの患者様には、幹細胞点滴を計4回点滴投与しました。 投与開始後2か月で両足のしびれが軽減、食欲が増進しました。 ・天ぷらやフライドポテトなどの油物を食べれるようになった ・外出しても疲れなくなり外出が楽しくなった ・運転に集中でき周りがよく見えるようになった ・友人との外食も疲れず楽しめるようになった ・食べ物に興味がなかったが外出して美味しそうな店を探すのが趣味になった などなど生活が激変し、喜びの声をいただきました! 既存の保険診療では治らなかったこのようなありとあらゆる変化に、幹細胞治療の可能性には驚かされました。 <治療費> 幹細胞点滴 投与回数(1回~) 242万円(税込)~ <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。 ID T000917 再生医療医師監修:坂本貞範
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肝硬変と言われたらどうする?知っておきたい治療法や合併症 肝臓の慢性的な炎症により、肝臓が線維化して硬くなる疾患が「肝硬変」です。肝硬変により肝臓の機能が障害されると、代謝や血液の循環動態に大きな影響を及ぼします。そのため、様々な合併症を引き起こします。 肝硬変の根本的な治療は肝臓の移植を行う他ありません。しかし、肝硬変の方で移植が受けられるのはごく一部です。そのため、多くの方はつらい症状に対する対症療法を行なっていくのが現実的です。 では肝硬変と診断された際、以下のような疑問はありませんか? ・肝硬変の合併症ってなにがあるの? ・肝硬変を治すことはできるのか? この記事では、肝硬変と診断された時に知っておきたい合併症や様々な治療法、また肝硬変に起こる がん についても解説しています。さらに最先端の治療である再生医療の可能性についても触れています。 肝硬変による5つの合併症とその治療法 肝臓は解毒・代謝など体にとって重要な役割を果たしていますが、肝硬変になるとその働きが落ちます。肝硬変が進行すると肝臓に流れ込む「門脈」という血管の圧が上がるため、全身の血液の流れに大きな変化を及ぼします。その結果、肝臓自体による症状以外にも、全身に様々な合併症を引き起こします。 ここからは肝硬変に起こりやすい5つの合併症とその治療法について、一つ一つ解説していきます。 ①肝性脳症 肝性脳症とは、肝硬変により代謝できなくなったアンモニアなどの毒素による脳の機能障害です。 肝性脳症による症状は異常行動や意識障害など様々です。なかでも特徴的なものに「羽ばたき振戦」があります。その検査の仕方は次の通りです。 羽ばたき振戦の検査方法 ①手のひらを下にしたまま腕を前に伸ばす ②そこから手首を90度立てて手のひらを正面に見せる様にする 羽ばたき振戦があると、手のひらを正面に見せておくことができず、羽ばたいているように手が細かく震えるのです。 肝性脳症には便秘・脱水・体内のアミノ酸バランスの異常・栄養素の不足などが影響していると考えられます。誘因を除去し、不足している栄養素を補うことが治療の上で重要です。患者さんの栄養状態を把握し、適切な栄養管理を行います。さらに以下のような薬物療法を行うこともあります。 〈肝性脳症の薬物療法の例〉 非吸収性合成二糖類 代表的なのは「ラクツロース」です。 便秘を改善したり、腸内のpHを調整したりする効果があります。 分子鎖アミノ酸製剤(BCAA) アミノ酸バランスを整えることで肝性脳症を改善します。 腸管非吸収性抗菌薬 腸内でアンモニアを産生する菌の増殖を抑制します。 亜鉛製剤 不足している亜鉛を補うことで症状を改善させます。 カルニチン製剤 肝硬変の人が不足しがちなカルニチンを補充することで効果を発揮します。 患者さんの病気の状態に合わせて治療の選択をしていきます。 ②食道胃静脈瘤 食道胃静脈瘤は血液を肝臓に流す「門脈」の血圧が肝硬変により高くなることにより起こる合併症です。門脈圧亢進により門脈を介した血流が滞ると、相対的に他のところの血流を増やさなければなりません。 その結果、食道や胃などの静脈に血流が増えます。血流が増えた血管は拡張し、瘤のようになるのです。基本的には無症状で胃カメラをしなければ発見できません。しかし、とても破れやすく、消化管出血をきたします。 治療は出血を防ぐ待機的治療と出血をした場合の緊急治療があります。代表的なものは下記です。 〈食道胃静脈瘤の治療の例〉 EIS(内視鏡的硬化療法) 内視鏡下に静脈瘤に硬化剤を注入します。 食道静脈瘤の待機的治療として行われることが多いです。 EVL(内視鏡的食道静脈瘤結紮術) 内視鏡に専用の輪ゴムを装着して静脈瘤を結紮します。 食道静脈瘤の緊急治療や待機的治療として行われることが多いです。 CA法(内視鏡的シアノアクリレート系組織接着剤注入法) X線透視装置と内視鏡を用いて、造影剤と組織接着剤を混ぜたものを静脈瘤に注入して硬化させます。 胃静脈瘤の緊急治療・待機的治療として行われることが多いです。 SB-tube 食道静脈瘤の出血量が多く、内視鏡での視野が確保できない場合に行われます。 鼻からチューブを挿入し、2つのバルーンを膨らませることで圧迫止血を行います。 止血できた後にEISやEVLなどによる追加治療が必要です。 BRTO(バルーン下逆行性経静脈的塞栓術) 足の付け根の静脈からカテーテルを進め、硬化剤とバルーンで静脈瘤の血流を遮断して硬化させます。 胃静脈瘤の待機的治療として行われることが多いです。 静脈瘤の形や場所・患者さんの状態・肝機能の程度・医療機関の状況などにより選択されます。 ③肝腎症候群 肝硬変により体をめぐる血液のボリュームが低下し、腎臓への血流が悪くなり腎機能障害が起こった状態が「肝腎症候群」です。腹水を伴う、進行した肝硬変に起こります。 腎機能は血液検査の「クレアチニン」という項目で判断します。クレアチニンが1.5mg/dL以上を超えていることが診断の条件の一つです。そのほか、脱水やショック、薬剤による腎障害や腎臓そのものの異常がないことなどいくつかの項目をみたすと診断が確定します。急速に進む1型と緩徐に進行する2型に分類されます。1型はとくに予後不良です。 治療では、血液内に水分を引き寄せるアルブミンという血液製剤を投与したり、血圧を上げる薬を一時的に使用したりします。 〈肝腎症候群の治療の例〉 ・アルブミン血液製剤を投与 ・血圧を上げる薬を一時的に使用 など ④肝肺症候群 肝肺症候群とは、肝硬変が原因で肺のガス交換に異常をきたし、血中の酸素濃度が低くなった状態です。肝硬変により血管拡張物質が代謝されないことで、肺の血管が拡張します。肺の血液量が増え、酸素の供給が間に合わなくなります。さらに、動脈と静脈にシャントと呼ばれる異常な交通ができます。シャントでは動脈血と静脈血が混じりあい、血中の酸素濃度が低くなります。 肝肺症候群の特徴的な症状は座ったり立ったりした時に息苦しさを感じることです。 診断は特殊な心エコーなどの画像検査で肺のシャントを証明することで行われます。肝肺症候群に有効な内科的治療はなく、後述する肝移植が唯一の治療方法です。 ⑤肺高血圧症 肝硬変による門脈圧亢進症に伴う血流の変化は肺の動脈にも影響を及ぼします。心臓から肺へ伸びる肺動脈圧が上昇した状態が「肺高血圧」です。肺へ血液を送る心臓の右側の部屋(右心系)に負担がかかり、やがて心不全へと至ります。 息苦しさ・足のむくみ・動悸・失神などが主な症状です。 レントゲンや心電図、心エコーなどで右心系の負荷がかかっていないかを確認します。診断の確定には右心カテーテル検査で実際の肺動脈圧を調べることが必要です。 治療は肺動脈を拡張させる薬剤を使用します。 肝硬変が進行し、肝臓の機能が保てなくなる「肝不全」では、これらの合併症により他の臓器にも影響を及ぼします。連鎖的に他の臓器の機能不全が起こると、命にも関わりかねません。 肝硬変に合併する がん について 肝硬変がある肝臓には、がんもできやすいことがわかっています。 肝硬変では慢性的な肝臓の障害により肝臓の細胞が傷付いては再生を繰り返しています。このような肝細胞は遺伝子の変化などの異常が起こりやすいため、肝がん(肝細胞がん)のリスクが高まります。 肝がんの検査と治療 肝硬変と診断された方は、定期的な腹部エコーなどの画像検査を行い、がんがないか経過観察を行うことが重要です。また、がんがあるときに高値になりやすい血液検査の「腫瘍マーカー」も参考になります。最終的な診断は生検といって組織を針などで取って顕微鏡で観察する必要があります。 治療法としては、手術や一般的な抗がん剤治療のほか、体表から特殊な針をがんに刺して焼いたり、がんの近くまで直接的に抗がん剤を注入したり、がんの栄養血管を詰めたりするなどの方法があります。 〈肝がんの治療の例〉 ・手術や一般的な抗がん剤治療 ・体表から特殊な針をがんに刺して焼く ・がんの近くまで直接的に抗がん剤を注入 ・がんの栄養血管を詰める など がんの治療は、その大きさ・数・肝硬変の程度や患者さんの状態によりさまざまです。 肝硬変の治療法 肝硬変の合併症が命に関わるなら、肝硬変を治療すれば良いと考えるかたもいるかもしれません。しかし、一度肝硬変が起こってしまうと線維化は不可逆で、肝臓そのものの治療は臓器移植しかありません。現実的には肝移植ができる患者さんは限られています。 ここからは肝硬変と診断された後にどのような内科的な治療を行うのか、また移植はどんな時に考えるかもみてみましょう。さらに、肝臓の再生医療の可能性についても解説します。 肝硬変診断後の内科的治療 肝硬変と診断されたら、まずは食事摂取の調整などの栄養療法、B型・C型肝炎ウイルスやアルコール多飲などの原因別治療を行います。 診断直後はあまり症状がない患者さんも多くいます。しかし、肝硬変が進むと、前述の合併症の他にも様々な症状に悩まされるようになります。肝硬変の症状は生活の質を下げ、適切な医療を行う妨げになることもあるのです。それぞれに応じて必要性に応じて治療を行います。 〈肝硬変の症状に対する対策の例〉 皮膚のかゆみ 黄疸のため皮膚のかゆみが強い場合は、かゆみを感じる受容体に作用する「ナルフラフィン塩酸塩」という薬剤を用います。 こむら返り 芍薬甘草湯という漢方が有名ですが、肝硬変の場合は他に「カルニチン」というアミノ酸を補うことで改善することもあります。 血小板減少 肝硬変の人が処置・手術が必要な時に血小板を増やす目的で血小板産生を促す「ルストロンボパグ」という薬剤を処方します。 腹水 利尿薬を用いたり、針を刺して腹水を抜いたりすることがあります。 ▼なお、腹水の治療については以下の記事でさらに詳しく解説をしています。 このような対症療法とともに、前述の合併症の治療を行っていくことが多いです。 肝移植について 肝硬変が進行し、多くの合併症が起こり他の治療法が効果を示さない場合、肝移植が考慮されます。 ダメージを受けた肝臓を取り除き、健康な肝臓に置き換えることで機能を回復させるための治療法です。ただし、肝移植を受けられるかどうかは、患者さんの健康状態や肝硬変の原因など、さまざまな要因に依存します。また、移植手術は非常に専門性が高く、どこの病院でもできるわけではありません。 肝移植には「生体肝移植」と「脳死肝移植」の2つの方法があります。 生体肝移植 健康なドナー(主に配偶者や家族など)の肝臓の一部を患者さんに移植する方法が「生体肝移植」です。 ドナーに年齢や健康状態などの条件はありますが、移植までの待機時間が少ないのはメリットです。ただし、ドナーの体にもメスをいれることになります。 脳死肝移植 脳死状態となり臓器提供の意思を示した方から肝臓を提供してもらう方法が「脳死肝移植」です。 最大の利点は、肝臓全体を移植できることです。しかし、いつ肝臓を提供してもらえるかは予測が難しく、待機時間が長くなる可能性があります。待っている間にさらに病状が進行して命を失うこともあり得ます。 いずれの肝移植にも手術が必要であり、危険性が伴います。 肝移植のリスクと適応 例えば、全身麻酔による合併症の可能性や、肝臓を取り除く際に周囲の臓器を損傷するリスク、さらに手術後の感染リスクなどです。 ・全身麻酔による合併症 ・手術時の臓器損傷 ・手術後の感染 また、移植後は拒絶反応を防ぐために、免疫抑制剤を服用し続けなければなりません。 肝移植は、すべての肝硬変患者が受けられるわけではありません。肝硬変の原因や患者さんの全体的な健康状態などに基づいて、適応が判断されます。適応基準を満たさない場合は、症状を緩和する治療を続けます。 肝移植は最終的な治療手段として、肝硬変の患者さんの命を救う可能性がありますが、その適応には慎重な判断が必要です。 肝硬変に対する再生医療について 最後に、少しだけ最先端の治療「再生医療」についてお話しします。 これまでの治療では、一度線維化してしまった肝臓は元に戻らないとされていました。しかし、再生医療により、この常識が覆されるかもしれません。 肝硬変に対する再生医療では「幹細胞」を利用します。幹細胞は体内の多様な細胞に分化する能力がある万能細胞です。この幹細胞を培養し、点滴で投与することで肝細胞の修復や再生を促します。幹細胞は損傷した肝組織に働きかけ、肝細胞の再生と修復を促進します。 これにより、従来肝移植をする以外に改善する手立てがなかった肝臓の線維化が改善する可能性があるのです。 残念ながら肝臓の再生医療は医療保険の適用外の治療です。現状では厚生労働省に届出して受理されている医療機関は多くありません。 当院はその数少ない施設の一つです。患者さん本人の脂肪細胞から幹細胞を採取して培養し、点滴での幹細胞治療を行っています。 独自の細胞培養技術により、冷凍保存をせずに幹細胞を輸送・保存することができます。そのため、生き生きとしたフレッシュな幹細胞を治療に用いることが可能です。 ▼こちらの動画で当院の幹細胞治療について詳しく解説しています。ぜひご参考にされてください。 https://www.youtube.com/watch?v=NeS1bk2i5Gs&t=96s まとめ・肝硬変に対する再生医療も選択肢のひとつに この記事では、肝硬変の合併症や治療法について解説を行いました。 ・肝硬変の合併症 ・肝硬変の治療法 ・最新の治療法「再生医療」 全身に起こる多様な合併症や肝がんは、命に関わる合併症です。 肝硬変そのものの治療としては栄養療法・原因治療に加え、症状の緩和が必要になります。しかし、内科的治療では線維化の進行を止めることはできません。肝移植も検討されますが、可能な方は限られます。 肝硬変に対する再生医療は線維化が進んでしまった肝臓を回復させる可能性のある治療ですが、まだ行える病院やクリニックは多くないのが現状です。当院では幹細胞治療による再生医療を提供しています。治療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度ご相談ください。 No.11 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献 赤羽たけみ, 吉治仁志. 診断と治療 111(1): 93-98, 2023. 赤澤直樹. 消化器ナーシング 28(1): 41-51, 2023. 橋本法修. 月刊薬事 64(2): 251-253, 2022 川口巧, 鳥村拓司. 日本医事新報 (5120): 42-43, 2022. 森野杏子, 小林誠一, 赤羽武弘, 玉渕智昭, 矢内勝. 日内会誌 105:1282-1286, 2016. 肝硬変診療ガイドライン2020 ▼肝硬変の症状や原因については以下で詳しく解説している記事をご覧ください。
最終更新日:2024.06.11 -
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肝硬変の症状や原因を徹底解説!沈黙の臓器の初期サインとは 肝硬変とは、肝臓に線維組織が増え、硬くなってしまった状態を指します。慢性的な炎症により肝細胞が傷つき修復を繰り返す過程で線維組織が増加することで起こります。 長期に持続的に肝臓にダメージを与える病態があると肝硬変に進行します。その原因はウイルスやアルコール、肥満やメタボリックシドロームなど多岐にわたります。 肝臓は「沈黙の臓器」であり、肝硬変初期までは自覚症状はほとんどありません。 しかし、肝硬変が進行すると、倦怠感・黄疸やむくみ様々な症状が認められます。正常な肝臓が行ってきたタンパク質の合成や不用物・有害物質の代謝・排出ができなくなるために起こるのです。 この記事では以下の内容をご紹介します。 ・肝硬変の原因 ・肝硬変の診断につながる検査 ・肝硬変の初期症状や進行症状 ・肝硬変の予防方法 肝硬変について詳しく知りたい方は、ぜひご参考にされてください。 肝硬変の主な原因 従来、肝硬変の最大の原因はウイルス性、特にC型肝炎ウイルスの感染によるものでした。現在でも肝硬変の最大の原因はC型肝炎です。しかし、その割合は徐々に低下してきています。 一方で脂肪性肝炎からの肝硬変は増加傾向です。肝臓に脂肪が貯まる「脂肪肝」が進行すると炎症細胞が集まり、炎症を起こします。これが脂肪性肝炎です。脂肪性肝炎には2つの原因があります。一つは長期・過量のアルコール摂取がかかわる「アルコール性肝炎」です。もう一つはアルコール以外が主な原因の「非アルコール性脂肪性肝」炎です。その他にも自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎などがあります。 このように、肝硬変の原因はさまざまです。以下で詳しく解説していきます。 ウイルス性肝炎 B型慢性肝炎 B型肝炎ウイルスは出生時に母子感染を起こすことで、9割以上が持続感染となります。持続感染をした場合は一部の患者さんは慢性肝炎に移行し、そこから肝硬変や肝細胞がんが起こる可能性があります。 近年は治療によりウイルス量を減らし、肝炎を沈静化することができるようになっています。 また、B型肝炎ウイルスを持つ母親から出生した乳児にB型肝炎に対する抗体やワクチンを投与することで母子感染を防ぐ取り組みが行われています。これにより、B型肝炎の母子感染は減少しています。 なお、B型肝炎ウイルスは成人期に性交渉などで感染することもあります。この場合は急性肝炎を起こしますが、多くの方は持続感染に移行することなく治癒します。 C型慢性肝炎 C型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。注射器を使い回したり、汚染された器具を使用して入れ墨を掘ったりピアスを開けたりすることなどが感染経路です。母子感染や性行為による感染もありますがB型肝炎ほど多くはありません。 C型肝炎ウイルスに感染すると、7割の方は慢性肝炎となります。慢性肝炎の自覚症状はほとんどありませんが、放置すると肝硬変へと進展していきます。 かつてC型肝炎治療はインターフェロンという注射によるものでした。しかし、インターフェロン治療は副作用が強く、また治療しても効果がない患者さんもいました。 しかし、その後様々な治療法が開発され、現在95%を超える患者さんがウイルスを体内から排除することができるようになったのです。 そのため、C型肝炎による肝硬変の患者さんは今後も減少していくでしょう。 脂肪性肝炎 アルコール性肝炎 一般的に、純アルコール量で60g以上を毎日飲み続けるとアルコール性肝障害をもたらすと言われています。 しかし、代謝には個人差があるので、人によってはこれより少ない量でもアルコール性の脂肪肝をきたすかもしれません。 特に女性やアルコールに弱い体質の方はこの3分の2程度の飲酒量でもアルコール性肝障害となりうると言われています。 純アルコール量(g)は、 摂取量(mL)×アルコール濃度(度数%÷100)×0.8(アルコールの比重) 上記の式で求めることができます。 たとえば、日本酒(アルコール度数15%)1合180mLの純アルコール量は180×15 ÷100×0.8=21.6gとなります。 つまり2〜3合の日本酒を毎日飲むと、アルコール性肝障害になる可能性が高くなるのです。 非アルコール性脂肪性肝炎 過剰な飲酒以外では、肥満・メタボリックシンドロームなども脂肪肝の原因です。最近ではこのようなアルコールと関連のない肝炎が注目されています。 アルコール多飲と関連しない脂肪肝を非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:ナッフルディーあるいはナッフルド)と呼びます。 一部のNAFLDの患者さんは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:ナッシュ)に分類されます。NASHでは脂肪が沈着するとともに肝臓に炎症が起こるのです。NASHは放置すると肝硬変に至り、肝がんを発症することがあります。 自己免疫疾患 他にも自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎などがあります。 ▼自己免疫性肝炎については以下で詳しく解説しているのでご参照ください。 肝硬変の診断に必要な3つの検査 肝硬変の診断には以下のような検査を行います。 ①肝生検 肝硬変の診断の王道は「肝生検」です。肝臓に細い針を刺して組織を採取し、線維化が進んでいるかを判断します。しかし、肝生検は出血などのリスクがあり、肝硬変が疑われる患者さん全員に行える検査ではありません。 多くの場合、肝硬変の診断は様々な血液検査や画像検査を組み合わせて行います。 ②血液検査 血液検査では、肝臓が合成するアルブミンや、肝臓から排出されるビリルビンなどが肝臓の機能を反映していると考えられています。 また、肝臓の硬さの指標として用いられるのがFib4-indexです。Fib4-indexはAST,ALT,血小板, 年齢から算出される数字です。 ③画像検査 腹部エコー検査やMRIなども参考になります。超音波装置を利用した肝硬度測定であるフィブロスキャンは痛みなく短時間で肝臓の硬さを測定することができる検査です。 これらの検査を総合的に判定し、肝硬変に進行しているかを判断します。それでも診断がはっきりしない場合は肝生検が考慮されるのです。 肝硬変が起こる前に出る初期サイン 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。それは、肝硬変が起こる前や肝硬変になったばかりの頃はほとんど症状がないからです。そのため分かりやすく初期症状を感じることはほぼありません。 しかし、肝硬変が起こる前の初期サインとして、血液検査での肝障害の指摘をされることがあります。症状がない頃から、AST,ALTなどの肝障害を示す数値が上昇していることが多くあります。 体調に変化がなくても、検査の異常が高度であったり長期に持続したりする場合は、肝硬変の原因になるものがないか専門の肝臓内科で精査を受けましょう。 肝硬変が進むと出る症状 肝硬変がある程度進行して様々な自覚症状が出てしまった状態を「非代償性肝硬変」と言います。倦怠感や易疲労感、食欲不振などと共に、肝臓が正しく機能できていないことによる種々の症状が現れます。 エストロゲン(女性ホルモン)の分解ができなくなるため、次のような症状が起こります。 ・手掌紅斑 手のひら(とくに指の付け根や親指・小指側)が赤くなる ・クモ状血管腫 蜘蛛が足を広げたような血管の集まりで上半身に多くできる ・女性化乳房 男性でも女性の様に乳房が大きくなります また、タンパク質の一種、アルブミンの合成障害が起こります。アルブミンは血管内に水を保持する働きがあるため、低アルブミン血症になると血管外に水が漏れ出します。その結果、起こるのが次の様な症状です。 ・浮腫 足が浮腫む ・腹水 お腹に水がたまり腹部が張ったような感じがする 肝硬変ではビリルビンという物質の処理も難しくなります。寿命を終えた赤血球から生じるビリルビンは肝臓に運ばれ、胆汁という消化液を介して排出されます。肝硬変になると、処理しきれないビリルビンが血中に大量に残ります。その結果、次の様な症状が起こります。 ・黄疸 全身の皮膚や白目が黄色くなる、尿の色が濃くなる ・皮膚の痒み 皮膚に沈着したビリルビンは強い痒みを引き起こします また、出血傾向が起こるのも肝硬変の特徴です。代償的に血流が増えた脾臓により血小板が多く破壊されることや、出血を止める凝固親子の合成が低下するのがその理由です。鼻血が出やすくなったり、歯磨きをしている時に歯茎から血が出てきたりということが起こります。 肝硬変の方は、「こむら返り」(足がつること)も起こりやすいです。こむら返りは就寝中などに起こりやすく、睡眠障害にも関わります。原因として、脱水・電解質異常・糖やアミノ酸の代謝異常などが考えられています。 肝硬変の予防方法 肝硬変の予防は、原因を除去・改善することです。 原因を突き止め、対処することで、肝硬変への進展を予防することができます。 B型肝炎・C型肝炎は治療の進歩により、ウイルスを沈静化させる・体外へ排出するなどの治療が可能になりました。そのため、検査したことがない方はまずはウイルス感染の有無を検査で確認をすることをおすすめします。 節度を守って飲酒をすることも重要です。厚生労働省は、生活習慣病のリスクを高める純アルコール量を男性40g以上、女性20g以上と定義しています。(健康日本21(第三次)より) 肝臓病のみならず、様々な病気を防ぐ意味でも、飲酒量を適切にすることが大切です。 肥満や高血圧・脂質異常・高血糖などの改善も、肝硬変の予防に重要です。食事を見直し、カロリーや塩分などを摂りすぎていないかチェックしましょう。 ・ウイルス感染の有無を検査 ・適度な飲酒量 ・肥満や高血圧・脂質異常・高血糖などの改善 ・食生活の見直し 「肝障害がある」と言われたら、まずは原因を探しましょう。そして解決のためにできることに取り組むことが大切です。 まとめ・肝硬変で症状が出るころには進行の危険! 今回は肝硬変の原因や症状、診断につながる検査や予防法について詳しく解説しました。 ・肝硬変の原因 ・肝硬変の診断につながる検査 ・肝硬変の初期症状や進行症状 ・肝硬変の予防方法 肝硬変の原因は肝炎ウイルス・アルコール・肥満など多岐にわたります。特に、ウイルスによるものが減少している反面、生活習慣が大きな影響を及ぼしていることが注目されています。 沈黙の臓器である肝臓は、症状が出るころには既に肝硬変が進行してしまっていることが多いです。 進行した肝硬変では、特徴的な皮膚症状・黄疸・浮腫や腹水などを起こします。また出血をしやすくなったり、こむら返りが起こりやすくなったりもします。 肝臓を守るために大切なことは、初期サインである肝臓の検査異常に早期に対応し、肝硬変の症状が起こる前に原因への対処をすることです。健康診断などでご自身の「肝障害」がないかをしっかりと確かめ、必要であれば早期の専門科受診を心がけましょう。 No.11 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献 赤羽たけみ, 吉治仁志. 診断と治療 111(1): 93-98, 2023. 田中康雄. 消化器ナーシング 28(1): 12-17, 2023. 内野康志, 近藤真由子, 大木隆正. 消化器ナーシング 29(3): 214-231, 2024. 日本消化器病学会・日本肝臓病学会. 肝硬変診療ガイドライン2020 (改訂第3版) 厚生労働省. 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン
最終更新日:2024.06.05 -
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肝硬変による腹水は治療で治るのか?予後と余命について 肝臓の病気である肝硬変が進行すると様々な症状が出現します。そのうちの一つが腹水であり、吐き気や嘔吐、息切れに繋がります。しかし、治療を行えば腹水の改善は見込めます。 この記事では肝硬変による腹水に焦点を当て、以下について解説していきます。 ・腹水の原因 ・腹水の診断 ・腹水の治療方法 ・腹水の予後 さらに、腹水のメカニズムについても解説していきます。ぜひご参考にされてください。 肝硬変による腹水は治る? 肝硬変は、長年のアルコール摂取やB型・C型肝炎ウィルス、自己免疫疾患、薬剤などが原因となり、慢性的に肝細胞の破壊と再生が繰り返された結果、線維化によって硬くなり、肝臓の機能が低下する病気です。 肝硬変で黄疸や腹水をはじめとする症状が発現しているということは、「非代償期」に突入したということです。それはつまり、肝硬変の病状が進行し、肝機能を補えないほどの状態まで悪化しているという意味になります。だからといって手遅れというわけではなく、多くの場合は内科的な治療法で腹水の改善がみられます。 しかし、中には難治性腹水となり、内科的治療に反応せず、外科的治療を有する症例もあります。今自覚している症状が肝硬変による可能性があると思われた方は、すぐに消化器内科にかかりましょう。 そもそも腹水とは? 腹腔内にあるタンパク質の含まれた液体が過剰になることを、腹水(腹水貯留)といいます。 正常な状態でも腸などの臓器がスムーズに動けるよう、腹腔内には常に20〜50ml程度の液体があります。しかし、病気によって腹水の産生過剰や排出不良が起こると、腹腔内の液体量が増え、腹水となるのです。 腹水の原因 腹水の原因として最も一般的なのは肝硬変をはじめとする肝疾患ですが、それ以外にも以下のような原因があります。 【肝疾患以外に腹水を引き起こす病気】 ・腹膜炎 ・癌 ・膵炎 ・門脈圧亢進症 ・心不全 ・腎不全 ・卵巣腫瘍 など 肝硬変で腹水が溜まる機序 腹水が生じる機序は複雑なので、その全てを説明するのは難しいのですが、概要を説明していきます。 腹水が起こるメカニズム ますは肝臓が腹水を生じる機序について述べます。 肝臓には門脈(もんみゃく)という太い血管があり、他の腹部臓器から返ってきた血液はこの門脈を通って肝臓に入っていきます。しかし、肝硬変によって肝臓の線維化が進むと、肝臓全体が硬くなり、肝臓内の血流が阻害され、結果として門脈圧が上昇します。門脈圧が上昇すると、類洞と呼ばれる肝毛細血管の圧も上昇し、肝臓の表面や血管からタンパク含有量の多い水分が漏れ出て、腹水となります。 さらに、肝臓はアルブミンと呼ばれるタンパクを合成する機能を持ちますが、肝機能の低下とともにこのアルブミンの生成もできなくなり、低アルブミン血症を生じます。アルブミンは血管内に水分を留める役割を担うため、アルブミンが不足すると水分が血管外へ漏れ、腹水となります。 腹水の増悪 次に、肝臓の変化が全身にどのような影響をもたらし、そして腹水を増悪させるのかについて説明していきます。 門脈圧の亢進は、他の臓器の血流も滞らせます。そうすると腸管は浮腫を起こし、動きが鈍くなった腸管内では細菌増殖が起こります。その細菌はやがて腸管壁を超え、全身に炎症反応が起き、血管拡張などを生じます。 肝臓での変化や上記の血管拡張により、全身をめぐる血液量は減少します。これを補おうと、今度は腎臓が水やナトリウムの再吸収などを行い、身体に水分を溜め込もうとします。身体の水分を排出できないことにより、腹水は増悪していきます。 腹水で現れる症状 少量の腹水では特に症状はみられません。 腹水が多い状態では、お腹が大きく膨らみ、体重も増加します。腹水が胃などの内臓を圧迫すると、嘔気・嘔吐や食欲低下、息切れ、むくみ、倦怠感などを自覚するようになります。 腹水の自覚症状 ・嘔気 ・嘔吐 ・食欲低下 ・息切れ ・むくみ ・倦怠感 また、合併症として腹水の感染が起きることがあり、これを特発性細菌性腹膜炎と呼びます。 肝硬変で腹水を生じている人、特に多量飲酒をしている人に多くみられます。症状としては、お腹を押した時に痛みを感じるほか、発熱、体調不良、錯乱、意識障害、眠気などを生じます。 特発性細菌性腹膜炎の症状 ・お腹を押した時の痛み ・発熱 ・体調不良 ・錯乱 ・意識障害 ・眠気 重症化すると生死に関わるため、上記の症状がある場合にはすぐに病院へ行き、早急に抗菌薬による治療を受けましょう。 腹水の診断方法 腹水の診断方法は以下の3つです。 医師の診察 腹水が大量であれば、医師の診察でもわかるでしょう。 指の腹でお腹をトントンと叩くと、腹水の溜まっているお腹は鈍い音がします。 画像診断 腹水の有無がはっきりしない場合や原因の検索が必要な場合は、超音波検査やCT検査などの画像診断が有用です。 腹水の成分分析 そのほか、腹水の成分を調べることによって原因を探る方法もあります。 お腹に針を刺して腹水を採取し、タンパク質の量や色、濁り、癌細胞・血液成分・細菌の有無などを調べ、それらの情報をもとに原因を検討します。 腹水の内科的治療 腹水に対する治療には、まず内科的治療から行います。 塩分の制限 はじめに行う治療法は、食事療法です。 肝硬変では栄養療法がとても重要なのですが、特に腹水の改善には塩分制限が有用です。1日の塩分摂取は5-7gとします。 上記の腹水が溜まる過程で、腎臓でのナトリウム再吸収について述べました。このように肝硬変では、ナトリウムが溜まりやすくなるため、ナトリウムを含んだ塩分の制限が必要となるのです。 実際に塩分制限により、腹水の早期減少や入院期間の短縮、利尿薬の減量が得られたと報告されています。 食事療法のみでは効果不十分と判断された場合、利尿薬が開始されます。 利尿薬 利尿薬の使用によって、尿からのナトリウム排泄を促進します。少量からはじめ、効果と合わせて徐々に増量します。 アルブミン療法 また、アルブミン低下に対するアルブミン補充療法も必要時行われます。 注意したい薬の種類 そのほか、腹水のある肝硬変では中止した方が良い種類の薬剤があります。 腎機能を悪くするような痛み止めや血圧を下げる薬は、腹水治療の妨げとなる可能性があります。これらの薬剤を利用している人は、継続の可否について医師に確認しましょう。 内科的治療が効かない難治性腹水 ほとんどの症例は上記の内科的治療によって改善がみられますが、約5-10%は内科的治療への反応が乏しく、難治性腹水と診断されます。 難治性腹水を事前に予測するのは難しく、治療への反応をもってして判断されます。 しかし、ある研究では難治性腹水の特徴として、腎機能の悪化や交感神経系の亢進、そして腎臓に作用して血圧を上昇させようとする内分泌系の調節機構(レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系)の亢進がみられ、さらに門脈圧亢進もその発生に関与しているだろうと報告されています。 腹水の外科的治療 難治性腹水となった症例に対しては、外科的な治療も含めて検討していきます。 穿刺排液 まず、腹水貯留による腹部膨満感や呼吸困難の改善のため、穿刺排液を行います。 基本的には超音波の機械を用いて安全に穿刺できる場所を選択しますが、解剖学的に安全と思われる箇所を狙って刺すこともあります。居所麻酔を行ったのち、針を使って穿刺し、管を留置して自然に排液させます。 穿刺の頻度は主に1-2週間ごと、量は1回につき最大でも8Lまでとされています。一度に大量の腹水を引いてしまうと循環動態の変化が生じてしまうため、その患者さんが耐えられるであろうと思われる量に抑え、5L以上引く場合にはアルブミン補充も加えて行われます。 アルブミン製剤(タンパク質の補充) アルブミン製剤でタンパク質を補充するほかにも、腹水濾過濃縮再静注法といって、排液した腹水を濾過器や濃縮器にかけ、自己のタンパク質を取り出し、それを点滴で体内に戻すという方法があります。 自分のタンパク質を体内に戻すため、アルブミン製剤を用いた場合に生じうる副作用を回避することができる点で有益とされています。 ちなみにこの副作用というのは、発熱やアナフィラキシーショック、顔面紅潮、蕁麻疹などになります。 経頸静脈肝内門脈大循環シャント(以下TIPS) 一つ目は経頸静脈肝内門脈大循環シャント(以下TIPS)と言われる血管内治療です。 全身麻酔下で血管内に細い管を挿入し、門脈と肝静脈の間にシャントと呼ばれる短絡路を作成し、門脈圧を下げます。 腹腔−静脈シャント術 二つ目は腹腔−静脈シャント術であり、腹腔内と中心静脈とを皮下を経由して繋ぎ、腹水を血管内に還流させる治療法です。 基本的には局所麻酔のみで行うことが可能ですが、長時間仰向けの体勢を保てないなどの際には全身麻酔を施すこともあります。 肝移植 最後は肝移植であり、これが唯一の根本的治療です。 脳死肝移植だけでなく、生きている人から肝臓の一部をもらう生体肝移植もあります。生体・死体合わせて、2021年と2022年はどちらも約420件の肝移植が施行されました。 限られた医療機関でしか受けられないうえ、待機時間も長いのが問題点です。 腹水貯留のある肝硬変の予後や余命 腹水の原因が肝硬変によるものでなく、まだ代償期の肝硬変であれば、治療によって予後は良好になり得るでしょう。 しかし、非代償期の肝硬変となり、様々な症状の一つとして腹水も生じているのであれば、予後が良好とはいえません。 ある研究では、非代償期の肝硬変の平均余命は2年以内と報告されています。さらに、難治性腹水になった場合は末期肝硬変に至ることが多く、極めて予後が不良と言われています。 ただし、非代償期の肝硬変であったとしても、治療によって症状の改善は見込めますし、肝移植を行えば予後を改善させることもできます。 まとめ・肝硬変における腹水の予後は治療法の選択が重要 肝硬変による腹水への理解に役立ちましたでしょうか。 肝硬変による腹水に焦点を当て、腹水のメカニズムや以下について解説しました。 ・腹水の原因 ・腹水の診断 ・腹水の治療方法 ・腹水の予後 肝硬変による腹水が生じた場合、それは肝硬変が非代償期に入ったことを示唆します。通常であれば食事療法や内服で改善しますが、中には腹水穿刺や手術療法を必要とする症例もあります。 肝移植が唯一の根本的治療ですが、他の治療でも腹水症状の緩和を期待できます。非代償期の肝硬変は予後が良好とはいえませんが、症状の改善に向けて前向きに治療を進めていきましょう。 No.10 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 楢原義之,金沢秀典ほか. 肝硬変における難治性腹水臨床像に関する検討. 日門充会誌.2002;8:251-257. Lewis RR, Patrick SK. Ascites and hepatorenal syndrome: pathophysiology and management. Mayo Clin Proc. 1996;71: 874-881. Gauthier A, Levy V G, et al. Salt or no salt in the treatment of cirrhotic ascites: a randomised study. Gut. 1986;27:705-709. Fornes X, Gines Z, et al. Management of ascites and renal failure in cirrhosis. Semin Liver Dis.1994;14:82-96. 堀田有沙,藤本陽平ほか.末期肝不全患者の難治性腹水に対する腹腔−静脈シャント(デンバーシャント)術の麻酔経験. 日臨麻会誌. 2010;30:629-633. 日本肝移植学会. 肝移植症例登録報告.移植.2023;58:339-355. D’Amico G, Garcia-Tsao G, et al. Natural history and prognostic indicators of survival in cirrhosis: A systematic review of 118 studies. J Hepatol. 2006;44:217-231. Salerno F, Borroni G, et al. Survival and prognostic factors of cirrhotic patients with ascites: a study of 134 outpatients. Am J Gastroenterol. 1993; 88: 514-519.
最終更新日:2024.06.06 -
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女性に多い肝臓の病気|症状・検査・治療法を解説します 「飲酒はほとんどしないし、脂肪肝も肝炎ウイルスの感染も指摘されたことがない。それなのに血液検査で肝臓の数値が高くなっていると言われた。」 それは、もしかしたら自己免疫性肝炎かもしれません。 自己免疫性肝炎は人体のなかで最大の臓器である肝臓に起こる病気で、特に女性に多く認められます。初めは異常に気が付きにくいことも多いです。しかし、放置すると肝硬変・肝不全・肝がんという重大な病態に至ることもあります。 なぜ自己免疫性肝炎は起こるのでしょうか。注意するべき症状はあるのでしょうか。どのような検査が必要で、どんな治療法があるのでしょうか? この記事では、自己免疫性肝炎の原因や疫学、また症状や検査・内科的治療について解説します。 女性に多い自己免疫性肝炎とは(肝障害の原因) 自己免疫性肝炎は、一般的に慢性に進行する肝障害をきたす病気です。 発症は60歳ごろがピークとされ、中年に多いとされています。男女比は1:4.3と、男性よりも女性に多いことがわかっています。日本には3万人強の患者さんがいると推定されています。 自己免疫性肝炎は国の定める指定難病です。一定の重症度を満たす場合は医療費が公費補助の対象となります。 自己免疫性肝炎の原因と合併症 自己免疫性肝炎の原因はまだ完全に明らかになっていません。しかしながら、さまざまな要素から、免疫が自身の身体を攻撃するために起こる「自己免疫疾患」と考えられています。実際に、自己免疫性肝炎では肝臓に免疫細胞が多く集まり炎症をきたしている所見が確認できます。 アルコールを全く摂取しない人でも、ウイルス性肝炎を起こすB型肝炎やC型肝炎の感染がなくても、この病気を発症することがあるのです。 特定の遺伝因子を持つ人が発症しやすいと言われています。しかし、一般的に行われている検診などで発症のしやすさを判定することはできません。また、家族内での発症も多くはないとされています。 自己免疫性肝炎は他の自己免疫疾患との合併が多く認められます。 たとえば下記のような疾患を患っている方は自己免疫性肝炎も発症するリスクが高まります。 〈自己免疫性肝炎に多い合併症の例〉 ・慢性甲状腺炎(橋本病) ・首が腫れる ・無気力になる ・体重が増える ・甲状腺に炎症が起こり機能低下する ・シェーグレン症候群 ・目が乾く ・唾液が出にくく、口が乾燥する疾患 ・関節リウマチ ・手、指などの小関節を中心とした腫れ ・痛み、こわばりなどを起こす疾患 自己免疫性肝炎の症状|セルフチェックは難しい? 残念ながら、「この症状があれば自己免疫性肝炎が疑われる」という特徴的なものはありません。 早期に発見される契機 は、無症状のまま健康診断などで肝障害を指摘されることが多いです。肝臓は別名「沈黙の臓器」と呼ばれています。肝障害は、自分では早期に 気が付きにくいのです。 一方で、急激な経過をたどる場合は以下のような自覚症状を認めること があります。下記の症状は自己免疫性肝炎に特異的ではありませんが、複数のものが該当する時は急激に進む重度の肝障害が起こっている可能性があるため早期に受診しましょう。 〈急性肝炎として発症する場合の症状の例〉 ・全身倦怠感 ・だるい感じがする ・易疲労感 ・ちょっとしたことでつかれやすい ・食欲不振 ・食欲低下のため食事が摂れない ・黄疸 ・全身の皮膚や白眼が黄色くなる ・尿の色が濃くなる また、一部の方は気付かない うちに病状がかなり進行して、肝硬変をきたしていることがあります。 自己免疫性肝炎の診断に必要な検査 様々な検査を行い、総合的に診断をします。 まず、血液検査で肝臓の障害があるか、またその程度を判断します。 ①AST(GOT)/ALT(GPT) ・健康診断でよく見る AST(GOT)/ALT(GPT)の上昇が参考になる所見です。 ・肝臓の機能に何らかの異常がある可能性を示しています。 ②IgG・自己抗体検査 ・免疫の関連の検査としてIgG(免疫の成分である抗体の量を見る検査)。 ・いくつかの自己抗体(自分の体を攻撃する抗体についての検査)も重要です。 ③B型・C型肝炎ウイルス検査 ・肝臓にダメージを与えるB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスなどの感染の有無 ④画像検査 ・エコー、CTなどの肝臓の画像検査も必須です ・肝障害をきたす脂肪肝などの他疾患の有無、肝臓の硬さ、悪性腫瘍(とくに肝がん)の合併の有無を評価 ⑤肝生検 ・診断において特に重要なのは肝臓の組織の検査、肝生検です ・肝生検には経皮的肝生検と腹腔鏡下肝生検という2つがあります ・多くの場合は体に負担の少ない経皮的肝生検が行われます ・経皮的肝生検では実際にエコー下に肝臓を確認しながら、細い針を刺して組織を採取する ・出血などのリスクがある検査で終了後の安静が必要であるため短期間の入院が必要です ・肝生検で採取した組織は特殊な染色を行い、顕微鏡で観察します。 ・これにより、どこにどのような炎症があるか ・肝細胞のダメージはどうか ・肝臓の硬さ(線維化) ・進行具合などを確かめることができる 自己免疫性肝炎で特徴的なのは、インターフェイス肝炎(Interface hepatitis)と呼ばれるものです。 肝臓へ血液を運ぶ肝動脈、門脈や胆汁を運ぶ胆管が集まった「門脈域」に、リンパ球や形質細胞(一部のリンパ球が成熟した細胞)などの炎症細胞が集まります 周囲の肝細胞を破壊しながら炎症がさらに広がっていく様子が認められます このような所見は全例で見られるわけではありませんが、認められれば診断への重要な手掛かりとなります 肝生検は他の原因を除外し、自己免疫性肝炎の診断を確実にするために重要視されている検査です ただし、患者さんの体の状態が悪く、肝生検が安全ではない ケースには行いません 自己免疫性肝炎の治療法と副作用 治療の基本はステロイドです。 ステロイドは副腎皮質という臓器から分泌されるホルモンをもとにつくられた薬剤です。強力な抗炎症作用や免疫抑制作用をもつため、自己免疫性肝炎をはじめとする様々な自己免疫疾患の治療に用いられています。 プレドニゾロンというステロイドホルモン薬を体重1Kgあたり 0.6mg以上で開始します。例えば50Kgの人は1日あたり30mg以上が開始量です。重症度に応じてもっと多い量を使用することもあります。 開始後は、最低でも2週間程度は初期量の継続が必要です。以降は肝機能の数値(主にALT)を見ながら徐々に減量します。急いで減量・中止すると、再燃のリスクがあるからです。 他に、肝機能の改善を助けるウルソデオキシコール酸が処方されることがありますます 。また、治療困難例やステロイドを多く使えない場合にはという免疫抑制薬がステロイドと併用で用いられることもあります。 最も頻繁に使われるステロイドですが、長期に大量に使用すると様々な副作用をきたします。以下に副作用の例をご紹介します。 〈ステロイドの副作用の例〉 ・感染状態 ・骨粗鬆症 ・食欲亢進 ・高血圧、脂質異常、糖尿病などの生活習慣病の出現や悪化 ・体重増加、肥満 ・躁状態、うつ状態、不眠などの精神神経症状 ・消化管潰瘍 ・緑内障、白内障 副作用がないか適宜検査を行い、予防可能なものには対策をしていきます。気になる症状があれば主治医と相談をしましょう。 日常生活を送る上で気をつけること 日常生活では、栄養バランスの取れた食事をとり間食を控えることが大切です。また、外出時には人混みを避け、手洗い・マスク着用・うがいなどの感染予防行動を徹底しましょう。 注意しておきたいのが、続発性副腎機能不全です。ステロイド薬の内服により引き起こされた副腎皮質ホルモンの不足のことを指します。 生理的な量を超えるホルモンを長期で内服すると、副腎は本来のホルモン分泌を怠るようになります。長期内服者が薬を自己中断してしまうとホルモン不足が起こるかもしれません。また、手術や重症感染症のときにもステロイドの必要量が増えるのに十分量 が分泌できないため、対策が必要です。 副腎皮質機能不全となるとだるさ・脱力感・血圧低下・吐き気・嘔吐・発熱などの症状が認められます。重症になると意識を失ったりショック状態になったりすることもあるのです。 ステロイドを自己判断で減量、 中止をしてしまうと、病状悪化だけでなく命に関わる副腎機能不全をきたすリスクもあります。そのため、必ず医師の指示通りに内服をしてください。 進行するとどうなる?悪化を防ぐために 自己免疫性肝炎の多くは治療が有効である一方、最初は軽症でも放置をすれば命に関わる事態になります。 自己免疫性肝炎を放置すると炎症が沈静化せず、肝臓の線維化が進みます。肝臓の線維化が進行し、 固くなった状態が「肝硬変」です。 肝臓では栄養素の代謝やエネルギー貯蔵、有害物質の分解や解毒などが行われていますが、肝硬変が進むとその機能障害が起こります。肝臓の働きが大きく損なわれてしまった状態を「肝不全」と呼びます。 さらに、肝硬変は肝がんの発生が起こりやすいこともわかっています。肝がんは治療しても再発しやすい厄介ながんです。 肝硬変・肝不全・肝がんへの進行を防ぐのに重要なのは、早期から適切な治療を受けることです。自己免疫性肝炎では、治療により AST,ALT を基準値内に保つことができれば生命予後は良好とされています。 自己免疫性肝炎についてよくある質問 ここまで自己免疫性肝炎について記してまいりましたが実際に患者様からよくお聞きする質問から以下を抜粋いたしました。 Q:自己免疫性肝炎では、最終的にステロイドを止めることはできますか? A:経過によっては中止することが可能ですが、全員ではありません。中止できる場合も、多くの場合は年単位の時間がかかります。 また、中止した場合には再燃をするリスクもあります。減量や中止については個々のケースで大きく異なるので、主治医とよく相談するのが良いでしょう。 Q:原発性胆汁性胆管炎という病気も肝臓の自己免疫疾患と聞きましたが、違いはなんですか? A:どちらも中年以降の女性に多い自己免疫性疾患ですが、障害が起こる部位が異なります。自己免疫性肝炎では、肝細胞の障害が中心です。 原発性胆汁性胆管炎で起こるのは肝臓内の胆汁が通る管(胆管)の破壊です。そのため、胆汁の流れが滞り、ALPやγ-GTPなど胆道系酵素や黄疸 をきたすビリルビン値の上昇が目立ちます。 進行すると黄疸や皮膚のかゆみを生じます。こちらの病気も放置すると肝硬変へ進展します。各種検査で自己免疫性肝炎との鑑別を行いますが、2つの病態が合併していることもあります。 自己免疫性肝炎の症状・診断・治療のまとめ 心配な時は内科受診を! 自己免疫性肝炎に特徴的な症状はありませんが、時にだるさや黄疸などをきたすことがあります。無症状で発見されることも多いです。 診断は血液検査・画像検査などを総合的に判断して行います。組織の検査は非常に重要とされています。 治療の第一選択薬はステロイドです。副作用も多いですが、対策をしながら長期に使用します。自己免疫性肝炎を放置すると命に関わる「肝硬変」に進展するため、診断を受けたら定期的に通院をして服薬 を続けてください。 健康診断で肝臓の数値が高いと言われた方や、肝臓が悪い時の症状に思い当たることがある方は、まずは医療機関で 精査を受けましょう。 No.9 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献 厚労省難治性疾患政策研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班. 自己免疫性肝炎(AIH)診療ガイドライン2021年 厚労省難治性疾患政策研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班. 患者さん・家族のための自己免疫性肝炎(AIH)ガイドブック第2版 難病情報センター 自己免疫性肝炎 難病情報センター 原発性胆汁性胆管炎
最終更新日:2024.05.31